1月29日(金) 雨

講義は全部終わって必修単位も全部取ったから、今は毎日学校で8時から18時まで椅子に座って「自己学習」の時間を過ごしている。教室が寒いから腰に鈍い桜貝色の膝掛けを巻き付けて座っている。端が床に擦れて嫌だ。その度に立ち上がってまた膝掛けを腰に巻き直してもう一度丁寧に座る。また落ちてきて、床に擦れて汚くて立ち上がって巻き直す。ダサいなって思った。

「ダサい」という言葉はわたしにすごく似合ってる。似合っているというか、そういうにおいで体臭がダサいということ。日記もダサいし、それはもうずっと前から分かってたことだけど、それは人の真似しか出来ないことからきてるんだろうなと思う。色んなことでショックを受ける。でもそれは全部誰かが誰か宛に向けたものでそこに「わたし」は一瞬たりともいなかった。遠くでひとり、見ていただけだった。勝手に泣いて怒って悲しくて情けなくて、でもそれが許されるのは高校生までだなと分かった。もう許されなくなってきてる。

最近怖いことは、本当は何も書けないことが分かってきたこと。何も持っていなかったことから逃げられないこと。わたし、普通のことを大声で言ってるだけだということ。